理論を学べば名曲ができるのか、という意味での質問ならば本物の愚問だ
教養を重視した古い上流階級から、理論を得た新階級に向かって、
難癖をつけるとしたら、極論をぶつけるような言い方になるのだろう。
上品ぶった言い方であっても、難癖の愚問はよくない。
余談として、俺の現代的な文学的教養をここで披露しておくと、
大宰治の斜陽という小説がむかしの教養ある上流階級が向かった末路を描いているし、
大宰治本人も、理論が力をもつ未来に対して何らかの絶望を抱いたのかもしれない。
とはいえ、いまさらこの時代を憎んでも仕方ない。
諸説あるのだが、マルコム・グラッドウェル著『天才! 成功する人々の法則』という書籍に、ひとつの説が紹介されている。
ビートルズは若い頃にドイツで活動していた。
ドイツではアメリカ軍が進駐軍として入り込み、アメリカ音楽の需要があった。
日本の団塊世代あたりがアメリカ音楽を愛好しているのと状況は全く同じである。
そこではアメリカ音楽を大量に演奏するバンドが重宝され、ビートルズすさまじい時間量の仕事をこなしていた。
マルコムによれば、天才になるかどうかの閾値として10万時間の真剣な修練とが必要している。
ドイツ時代を経てビートルズは10万時間以上の音楽演奏を経験をたため、
ビートルズは天才となったというのがマルコムの説だ。
理論を知らなくてもできるような、天才肌的な者はたしかにいる。
>>20にある通り、ある一定条件のもとで天才が出現しうる。
理論を知っていても知らなくてもいいのだが、何らかの音楽を成果としてアウトプットをしていないとだめだ。
ロック音楽に詳しいふりをしていても、
楽器機種のカタログ知識や、ミュージシャンの名前と妄想ばかりアウトプットしているやつは多い。
楽器作曲板のスレを見ているとわかる。
まあ、俺もそれと大して変わらない。
理論の有用性を考えるうえでは、現代ならではの問題を考える必要があると思う。
あらゆる仕事の現場において、いまでは新人を10万時間かけて一人前になるのを待つ余裕はない。
そもそも、戦後の混乱期のような仕事需要が世の中には存在しない。
音楽の世界に限らないことだ。
そこで、天才のもつ力を理論にまとめて汎用的に利用する。
具体的には、音楽理論という業務マニュアルをフル活用する必要があるのだと思う。
マニュアルに従って業務するうちに業界からリストラされず、10万時間を経て新人が本物の天才となればもうけものだ。
(Wikipedia 作曲家アーヴィング・バーリンより引用)
「ホワイトクリスマス」「ゴッド・ブレス・アメリカ」「ショーほど素敵な商売はない」
など名曲を量産したアメリカのポピュラーソングの作詞家作曲家アーヴィング・バーリンは
正式な音楽教育はおろか一般的な学歴にすら乏しい生い立ちで楽譜の読み書きができなかった。
名声を得てからも楽譜を書くことが出来ず、着想したメロディを上手くないピアノで奏で、専属の採譜者に記録させていた。
生涯に作詞した楽曲の数は3,000以上に上る他、17の映画音楽と21のブロードウェイミュージカルを手がけている。
作曲技術も演奏能力もこの人にはほとんど無いと思う
名曲の持つ素晴らしいメロディは発明に近いものであってバカみたいに乱暴に言えば閃きの一言に尽きるが
それは天才だからと言ってしまうのと同じで何も言っていないに等しい
では何か言う必要があるのだろうか
素晴らしい芸術や天才に感動すると人は何か言いたくなるものだが
私は何も言う必要は無いと思う
昭和の名人と言われた落語家の言葉を引用する
「素人が上手い下手について言うもんじゃない 好きか嫌いかだけ言ってりゃいいんだ」
何も言う必要がないといって何も言っていない人を非難するつもりはない
私だって何も言っていない
こうやったら素晴らしいメロディが誰でも作れるというマニュアルは三万年を超える音楽の歴史の中で未だ存在しない
>>22
それは、20世紀初頭だからできたことだよ。
映画やらラジオなどの新しい産業ができて、
つまらない演奏や作曲でも、とりあえずなにか音をつけなければならない。
そのための人材がいないのなら、素人でもひとまず我慢するしかない。
素人が時間をかけて試行錯誤していくうち、理論なしで完全に感覚的な作曲の天才となることもあるのだろう。
現代では人材も仕事量も足りているので、試行錯誤という失敗を許容する必要がない。
そこで新人でも求めるレベルに達する仕事をする方法が、理論だ。
>>22
何も言わないという態度も、昭和だからできたことだ。
社会全体がどん底から右肩上がりになる時代には、いちいちものごとを深く考えているひまがないし必要ない。
理論抜きのいきあたりばったりで多少失敗していても、とりあえず没落はしないし、
時間をかければいいものができたり、天才ができたりすることもある。
現代では、社会全体が成熟していて衰退すら感じられる。
理論抜きでは没落するしかない。
あらゆる分野の仕事がそうなっている。
>>22 >>24
丁寧なご回答、ありがとうございました。
模写と模倣と創作。
この3つを混同している書き込みが多い中で、
とてもわかりやすく説明していただきました。
ありがとうございました。
作曲、編曲でもっと大事なのはリズム感
この辺の探究心や演奏能力がないと「あかりをつけばしょぼんぼりにー」みたいな曲しかかけない
音楽はリズムだ。
クセナキスが聴きたくなってきた。
こういう曲をつくりたいんだが、
なんとかならないだろうか。
Ron Thalなら
こっちの方が面白くて良いと思うなw
でも理論と言うよりは蓄積量の問題だと思うが
蓄積量・・・か。
RonThal、好きだな、俺も。
ま、それはよいとして。
著名なミュージシャンで、理論の重要性を語った人間っているのか?
聞いたことないが。
いるなら、教えてくれ。
どっちかっていうと、
「理論はあっても邪魔にはならないが、創作の本質ではない」
的なことを語ったアーティストしか知らない。
あのヒトなんかは、理論重視の音楽教育について「犯罪的」とすら、言っている。
ま、昭和の人間なんだろうな。
身だしなみみたいなものだからな。ジャズ研の1年生が知るレベルくらいは
かなり合理的に体系化されてるから、いまどきどのジャンルの人でも知らない方がおかしい。
俺の記憶だとスティービーワンダーはそうだったはず
デュークエリントンのような曲が書けるようになりたいと理論を習いに行った
それで重要性を語っていたはず
メセニーもそんな話があったはず。
知るから自由になる、みたいな。